1. 「計画書」は、子どもを変えるためのものではない
居場所事業で個別支援計画を作るとき、私たちは最初に一つのことを大切にしています。
それは、「この子をどう変えるか」から考えない。ということです。
・学校に行けない。
・人との関わりが苦手。
・感情のコントロールが難しい。
・生活リズムが乱れている。
・集団に入ることが難しい。
もちろん、そうした「困りごと」を整理することは大切です。しかし、それだけを出発点にしてしまうと、計画書はいつの間にか、「できないことを、できるようにする計画」になってしまいます。
すてっぷでは、そこから少し視点を変えます。
「この子が安心して過ごせるためには、何が必要なのか」そして、「この子が本来持っている力を、どうしたら発揮できるのか」を考えます。
2.居場所支援の出発点は「安心」
子どもにとって、居場所とは単に「いる場所」ではありません。
「ここにいていい」「失敗しても大丈夫」「今日は何もしなくてもいい」「自分のペースでいい」と思える場所です。
心理的安全性が確保されて初めて、子どもは人と関わったり、新しいことに挑戦したり、自分の気持ちを表現したりすることができます。だから、すてっぷの計画書では、「何ができるようになるか」だけではなく、「安心して過ごせること」そのものを大切な目標として位置づけます。
3. 「問題」ではなく「その子」を見る
同じ「不登校」という状況でも、理由は一人ひとり違います。友達関係なのかもしれない。学習面でのつまずきなのかもしれない。感覚過敏があるのかもしれない。家庭でのストレスが影響しているのかもしれない。あるいは、明確な理由は本人にもまだ分からないのかもしれません。だから、「不登校だから学校復帰」と短絡的に考えるのではなく、「この子に今、何が起きているのか」を丁寧に見ていきます。
4.ストレングスモデルで考える
すてっぷの個別計画では、子どもの「できないこと」だけを見るのではなく、「できていること」「好きなこと」「得意なこと」
「興味があること」「大切にしていること」を探します。
例えば、「人との関わりが苦手」という子どもがいたとしても、「ゲームの話なら大人と話せる」「好きなことについてはよく話す」「年下の子には優しくできるという姿があるかもしれません。
それは、その子の「力」です。支援とは、その力を土台にして、できることを少しずつ広げていくことだと考えています。
5.目標は「小さくていい」=スモールステップ
個別支援計画というと、「学校復帰」「社会性の向上」「生活習慣の確立」など、大きな目標を書きたくなります。
しかし、居場所支援では、小さな変化を大切にすることを大切にしています。
例えば、「週に3回学校へ行く」ではなく、「安心できる大人と一緒に、今日の気持ちを言葉にしてみる」「10分間、好きな活動に取り組む」「疲れたときに『休みたい』と伝える」という目標でもいい。
むしろ、その小さな成功体験の積み重ねが、その後の大きな変化につながります。
5.チャレンジを大切にする
すてっぷでは、結果だけではなく、「やってみたこと」を大切にします。
できなかったとしても、「やってみようと思った」「途中まで参加した」「困ったときに職員に相談した」「休みたいと言えた」
ということがあります。それも立派な成長です。
個別支援計画の評価も、「できた・できなかった」の二択ではありません。「どんな変化があったのか」を見ることが大切です。
6.子ども本人の「選択」を大切にする
すてっぷでは、支援者がすべてを決めるのではなく、できる範囲で子ども自身に選んでもらいます。
「今日は何をする?」「どこで過ごす?」「休憩する?」「もう少しやってみる?」選ぶことそのものが、自己決定の経験になります。そして、「自分で選んでもいい」という経験が、自己肯定感や主体性につながっていきます。
最後に
すてっぷ流の基本
私たちが個別支援計画を作るとき、大切にしているのは次の5つです。
① 安心を土台にする
② できないことより、できていることを見る
③ 小さな成功体験を積み重ねる
④ 本人の選択と自己決定を尊重する
⑤ 「子どもを変える」のではなく、環境と関わり方を考える
個別支援計画は、子どもの未来を決めるものではありません。その時々の子どもの姿を見ながら、「今、この子に必要なことはは何だろう?」を一緒に考えるためのものです。そして、子どもが変われば、計画も変わります。
だから私たちは、計画書を「完成させるもの」ではなく、子どもと一緒に更新していくものだと考えています。