居場所の質を最終的に左右するのは、そこにいる「人(支援者)」の在り方です。
私たちは、児童発達支援センター「よつば」での療育的知見に加え、地域活動支援センターでの実践を通じて、一つの重要な技術に到達しました。
それは、支援者が時として「専門家としての鎧(よろい)」を脱ぎ、沈黙すらも技術として使いこなすということです。
1. 「沈黙を恐れない」という介入
コミュニケーションが苦手な自閉症スペクトラム(ASD)の方々と過ごす時、支援者はしばしば「何か話さなければ」という焦燥感に駆られ、過剰に問いかけをしてしまうことがあります。しかし、本人にとっては、その言葉こそが居心地を悪くさせ、居場所を奪う要因になることがあります。
私たちは、地域活動支援センターでの経験から学びました。
「ただ、そばにいる。会話のない時間を共有する」 これは決して「無関心」ではありません。相手が望まない過剰なコミュニケーションを排し、本人のペースを尊重する「待つ支援」の極致です。支援者が沈黙を恐れないことで、初めてその場に「相手が自分らしくいられる余白」が生まれるのです。
2. 「変えようとしない」伴走支援の在り方
私たちの伴走支援は、相手を無理に変えようとすることを目的としません。
本人の選択と自己決定を最大限に尊重し、その歩みに歩幅を合わせることに徹します。
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失敗さえも受容される環境
居場所は、失敗が許される場所です。むしろ、失敗した時にこそ、素直な感情を表出してもらえる関係性を重視します。 -
「自己決定」の積み重ね
どんなに小さなことでも「自分で決めた」という経験を支えます。支援者は主役ではなく、そのチャレンジを安全な環境で支える「黒子」に徹します。
3. 自己肯定感、そして「自立への滑走路」へ
小さな成功を積み重ねることは、傷ついた自己肯定感を少しずつ修復していきます。
私たちが目指す居場所は、単なる終着点ではありません。本人がありのままを受容され、自信を取り戻し、いつか自分の足で次のステージへと飛び立っていくための「自立への滑走路」です。
地域活動支援センターで培われたこの実践知こそが、属人的な「優しさ」を超えた、再現性のある「支援技術」の骨格となります。
4.専門性の再定義
支援者が「正解を知っている者」として振る舞うのをやめ、一人の人間として隣に立つ。
一見、逆説的に見えるこのアプローチこそが、人が真にエンパワメントされる(力を取り戻す)ための鍵となります。
「すてっぷ」は、支援者にとっても「評価の鎧」を脱ぎ、利用者と共に成長していく場でありたいと考えています。