「明日から、これをやります。やるって決めました」
そう力強く宣言した方が、翌日には断念してしまう。地域活動支援センターや児童発達支援の現場では、決して珍しくない光景です。
周囲の評価は、時に冷ややかです。「我慢が足りない」「約束を守れない子」。 しかし、私たちはその裏側にある、切実な葛藤を見つめます。
そこには「今度こそは」と必死に何かを成し遂げたい願いと、「どうせ無理だ」と諦めてしまう過去の傷跡が交差しています。その葛藤の末に絞り出された「やります」という言葉。
私たちは、結果(できたかどうか)ではなく、「頑張ろうと決めた、その行為そのもの」を、何よりも尊いものとして肯定します。
「できない状態」をどう扱うか
居場所支援において重要なのは、「できるようにすること」以前に、「できない状態を支援者がどのように扱うか」です。
従来の支援は、課題を克服することに主眼を置いてきました。しかし、できないことを突きつけられる関わりは、本人の自己否定感を強め、支援からの回避(来なくなること)を生んでしまいます。
「できないことを責めない」とは、単なる配慮ではありません。
本人の安心感と主体性を回復するための積極的な支援技術なのです。その具体的なアプローチをご紹介します。
「できない」を可能性に変える5つの視点
この技術の本質は、合理的かつ実践的なアプローチに根ざしています
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1. 評価の転換:結果から「過程」へ
「活動に参加できたか」ではなく、「その場に来られた」「関心を示した」という極小のステップを肯定します。
ハードルを極限まで下げることで、次の一歩を踏み出す基盤を作ります。
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2. 意味の再解釈:能力不足から「文脈」へ
不参加を「やる気がない」と片付けず、「不安が強い」「過去の経験からの回避」と読み解きます。
背景(文脈)を理解することは、本人を責める感情を、支えるための知恵へと変えてくれます。 -
3. 強みへの視点転換:欠損から「ストレングス」へ
できないことの隣にある「できていること」に光を当てます。
人との関わりが難しくても、一人で集中できる力があるなら、それを出発点にします(ストレングスモデル)。 -
4. 関係性の維持:達成よりも「つながり」を
課題の達成よりも、関係が途切れないことを優先します。
つながりさえあれば、いつか必ず変化のチャンスは訪れるからです。 -
5. 安心の保証:「できなくても、ここにいていい」
一貫したメッセージが、自己決定の土台となります。安心が確保されて初めて、人は自分の足で立ち上がることができます。
技術の本質:存在を支える
この技術の本質は、一言に集約されます。
「できない状態を変える前に、存在を支える」
これは、本人が本来持っている力を取り戻す「エンパワメント(主体性の回復)」のアプローチです。できない自分を受け入れられた経験が、やがて「自分を信じる力」へと変わっていきます。
最後に
「できないことを、可能性の始まりとする」
「できない」を責めない支援への転換は、支援のあり方そのものを変える挑戦です。
新しく始まる「すてっぷ」は、あなたの「やろうとした瞬間」の輝きを、決して見逃しません。